<海外研修生インタビュー>日立ハイテクメキシコ会社(前編)
日立ハイテクメキシコ会社へ2024年4月から研修生として派遣されている野崎航大さん(2020年入社 グローバルサプライチェーンソリューション部)に、メキシコでの生活と仕事についてインタビュー。仕事もプライベートも充実した日々を過ごしつつ、英語とスペイン語の学習にも余念がない野崎さんに、前編では主に現地の情報やビジネス環境について伺いました。
――海外研修を希望した理由を教えてください
子どもの頃からサッカーが大好きで、特に海外クラブの試合をよく見ていたこともあり、もともと海外に強い憧れを抱いていました。大学の卒業旅行ではバックパッカーとしてヨーロッパやアジアを巡ったことがあります。仕事についても、大学1年の時に読んだ小説『不毛地帯』の中の「へその緒を切った時から商社マン」というフレーズが印象に残り、将来はグローバルに活躍する商社マンになりたいと強く思っていました。
入社した2020年はちょうどコロナ禍の最中で、当初は仕事もほぼオンラインでしたが、それでも海外と日本をつなぐ仕事にやりがいを感じていました。その後、上司から海外研修のことを聞き、せっかくのチャンスをつかみたいと思い応募した次第です。
――語学は得意でしたか?
実は、英語は一番苦手な科目でした。でもグローバルに働くためには必須スキルなので、大学生時代必死に勉強しました。そのかいあってか、TOEICの点数が最初は280点前後だったのが、就職活動の時には800点ほど、現在は890点くらいまで取れるようになりました。
――研修先はどのようにして決めましたか?
入社以来、自動車Tier1メーカー(完成車メーカー(OEM)に直接部品やシステムを供給するサプライヤー)向けのグローバル調達を担当しているため、候補地として自動車関連の仕事があるアメリカ・中国・タイ・シンガポール・メキシコなどの拠点が挙げられました。その中で自動車がメイン産業であること、自分が訪れたことのない国であることに大きな魅力を感じてメキシコを希望しました。また、小さい頃からバルセロナFCを中心とするスペインのリーガエスパニョーラを観戦していて、憧れていたスペイン語が第一言語であるということもポイントだったと思います。
――研修前の準備で大変なことはありましたか?
研修の準備として2024年3月にメキシコを訪れ、ビザ取得や現地での住居選びなどを行いました。それが人生初めてのメキシコだったので、「本場で屋台タコス開拓だ!」と意気込んで食べ歩いていたら、おなかをこわしてしまったのが最もつらかったことです。とはいえ、それもいい思い出といいますか、研修開始前にメキシコに順応できたことは振り返ってみればよかったと思います。4月以降はおなかの調子も非常によく、日々健康に過ごしています。ただ、メキシコへの出張者や日本の友人などを案内するときには屋台タコスは避けるようにしています(笑)。
――滞在している地域はどのようなところですか?
<メキシコシティの基本情報>
<人口>約2,100万人と東京都の約1,400万人と比較しても多く、人口密度の高さを感じます。日夜交通渋滞が絶えず、ラッシュアワーには3km進むのに30分かかることも。
<標高>約2,240mと、富士山5合目(2,300m前後)と同じくらいです。酸素が薄く、階段の上り下りだけで疲れます。一方、高地トレーニングとしては最適な地なので、通勤時に30分歩いたり、休日にランニングをしたりして肺を鍛えています。
<言語>
第一言語はスペイン語。メキシコシティは首都なので英語が通じると思っていたところ、ビジネスではともかく一般のお店などではまったく通じません。
<アクセス>
成田⇔メキシコシティ間の直行便があり、片道12時間ほどです。
<治安>
映画やドラマなどのイメージでは、皆が銃を持ち、隙を見せれば頭に布をかぶせられ誘拐されそうな感じですが(笑)、実際は穏やかで比較的安全に過ごすことができます。ほかの海外の大都市と同様、時間帯によっては近寄るべきでないエリアがあるものの、家からオフィスの間や昼間のカフェなど普段過ごす場所ではあまり危険は感じません。
<食事>
トウモロコシから作るトルティーヤが主食、肉は牛肉が主流です。研修開始当初、1年間日本食は食べないことを目標としていましたが、今では週5で日本食です。日本食は世界一です。でもせっかくなので、土日は積極的に外食して現地の味を楽しんでいます。
<カルチャーギャップ>
時間に非常にルーズなことに最も驚きました。スペイン語の「Ahorita(アオリータ)」という言葉には要注意。日本語で「今すぐ」、英語だと「Right now」という意味の言葉ですが、メキシコ人にとっては「数時間後または数日後まで」を意味します。
現地の友人と12時に待ち合わせの約束をしていて12時30分になっても来なかったので、どこにいるのか聞いたところ「Ahorita」という返事がありました。スペイン語を学び始めたばかりの当時の私は、その単語を聞いて“今すぐ”だと思い込み、数分後に到着するものだと思っていたら、結局2時間待ちました。あとで確認してみると「Ahorita」と言ったときにはまだ家にいたそうです(笑)。
仕事でも、ローカルスタッフに何かを依頼したとき「Ahorita」と返事があるのですが、今日中ではなく来週中という認識だったりするので、きちんと「いつまでに」を伝えるようにしています。
――メキシコでのコミュニケーションについてはいかがですか?
日立ハイテクメキシコ会社のローカルスタッフとは英語でコミュニケーションしています。スペイン語については、多少なりとも話せるよう事前に自己学習していましたが、実際に現地の人と話してみると、思うようにいきません。ただ、単語には英語と共通しているものもあり、発音も基本的にローマ字読みで通じるので、意思疎通はできます。ただし、単語に男性形と女性形が存在するため、その点は日本語や英語と異なり、とても難しく感じます。
8月末まではスペイン語のプライベートレッスンを受講していましたが、今はChatGPT®や語学学習アプリを使って自己学習しています。ChatGPT®を語学の練習に使えることは私もこちらに来てから知ったのですが、スペイン語での会話はもちろん、例えばレストランでの店員さんとのやりとりなどシチュエーションを想定した会話にもつきあってくれるので重宝しています。また、現地でできた友人との交流も、語学のいい練習になっています。
――普段の平日のスケジュールを教えてください
05:30 - 起床
06:00 - ジムでトレーニング
07:00 - スペイン語・英語の学習
08:15 - オフィスへ出勤
13:00 -ランチ
18:00 - 帰宅
19:00 - 本社・タイ・上海などグループ会社とミーティング
22:00 - スペイン語・英語の学習
00:00 -就寝
――メキシコでの仕事についてはいかがですか?
日立ハイテクメキシコ会社の人員は社長も含めて10名(2025年1月時点)と、規模は大きくありません。その分、社長やマネージャーとの距離が近く、それぞれの考え方や仕事の進め方などを間近で実感できることで多くの学びがあると感じています。
日々の業務では、顧客との窓口は研修員である自分ではなくローカルスタッフであることを常に意識しています。自分は一歩引いたところからローカルスタッフをサポートする立場となり、チームとして一緒に物事を進める難しさを感じています。と同時に、目標を達成したときの喜びをチームとして味わうことでより高まるということが、仕事のやりがいとなっています。
メキシコの企業では日本のように「報・連・相」の文化が根づいておらず、ローカルスタッフのサポートでは報告や連絡、相談のタイミングや密度についてのアドバイスといった基本的なことも多いのですが、そのような経験も自分自身の成長につながると確信しています。
~後編ではプライベートライフやこれからの目標について伺います~
【日立ハイテクメキシコ会社について】
2014年設立の日立ハイテクメキシコ会社は、日立ハイテクアメリカグループの一員として、中米地域におけるサプライチェーンやトレーディングビジネスをメインに行っています。2024年10月末で10周年を迎え、中米地域における鉱業、自動車、製薬製造などの分野で新たなビジネスの可能性に挑戦しています。